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谷川連峰
〜エキセントリックな谷川連峰の尾根と谷〜
 
赤谷川本谷・ドウドウセン1ピッチ目の登攀
 
 春一番が吹く三月初旬、一ノ倉沢や幽ノ沢がルンゼ登攀のシーズンに入る頃、谷川の知られざる山はシーズン真っ盛りだ。日本海からの湿った空気は、冬の間、この地に膨大な雪を降らし、ブッシュだらけの尾根は、純白の衣装をまとった白雪姫となる。谷の奥には誰も知らない氷瀑を隠し、なだらかな沢の源頭は山スキーの格好の舞台になる。そして夏。雪渓の下には、雪で磨かれたつるつるのスラブ壁と申し無さそうにこびりついた草付が沢の遡行を困難にする。
 谷川は一ノ倉や幽ノ沢だけじゃない。僕らのワンダーランドはこんなにも近くに残っているのだ。
 登山大系をはじめとする各種のガイド本に紹介されていないエキセントリックなルートを中心に紹介しよう。
 
■山域概念

 一口に谷川といっても、この山域は非常に広い。国境稜線ともなっている清水峠〜谷川岳〜平標山〜三国峠に、国境稜線から派生している尾根上にあるタカマタギ・小出俣山・白毛門等の山々を加えた地域を谷川連峰としたい。これだけ歩けば2泊3日程度はかかる。
 以下、この山域を
 1. 湯桧曽川水系
 2. 谷川水系
 3. 魚野川水系(万太郎谷・桧又谷・仙ノ倉谷)
 4. 赤谷川水系・小出俣川水系
 5. 稜線縦走
と5つにわけて解説したい。
 なお、アプローチはそれぞれの水系によって違う。湯桧曽川水系は水上駅(土合駅)が起点になる。夏期は一ノ倉沢出合まで入れるが、冬期はロープウェー駅先にゲートがあり、ここから歩く事になる。昨年から、紅葉の時も車が入れなくなったので注意が必要。
 谷川水系は水上から10分の谷川温泉が起点となる。林道の終点に駐車場がある。
 魚野川水系は、越後湯沢(土樽)が起点。夏は群大仙ノ倉山荘の先まで入る事が可能。逆に積雪期は林道の入口までしか入れないので、そこに車を停めて長いラッセルをする事になる。同様に万太郎谷・桧又谷も夏は林道終点まで入れるが、冬は上越線の鉄橋下までしか入れないので、土樽駅に車を置いて登ることになる。
 赤谷川水系・小出俣川水系の場合は、赤谷川沿いの一軒宿、川古温泉が起点となる(温泉手前に駐車場あり)。川古温泉までは水上からタクシーで4500円ほど。車の場合は月夜野ICより25分ほど。入渓点までは共に1時間以上の林道歩きを強いられる。
 昔から人気のある山域ではあるが、近年の普通列車の本数の激減で電車でのアプローチは夕方に東京を出なければならないこともあって、働いている者には厳しい。北西面の玄関の越後湯沢駅も駅の閉鎖により夜間は追い出されてしまう。このため、ひとつ手前の岩原スキー場前駅や土樽駅まで眠い目を擦りながらのドライブを強いられたり、タクシーを使わなくてはならないことも多い。
 この山域の特徴としては、スラブの発達と大滝の存在が挙げられる。特に仙ノ倉谷の上部は西ゼンや東ゼンなどのスラブ登りで有名な沢がある。また各水系に点在する大滝の存在がある。特に幽ノ沢左俣滝沢大滝や赤谷川裏越ノセン・ドウドウセン、小出俣川マチホド沢大滝は、この山域を代表する滝といってもさしつかえないだろう。

 
■全体の概念をつかむ資料

 昔から谷川岳とあって参考資料は非常に多い。日本登山大系 3「谷川岳」は、谷川のバリエーションのほぼ全てを扱っているといっても差し支えない。P248~に積雪期の谷川連峰の尾根について紹介しているが、結構大事な話が書いてあると思うので、積雪期の谷川岳を目指す人はぜひ読んで欲しい。
 東面の岩場(マチガ沢・一ノ倉沢・幽ノ沢)は日本の岩場(上)(白山書房)でも扱われている。より多くのルートの紹介は岩雪128付録「谷川岳ルート図集」に出ている。積雪期は「冬期クライミング」・「アイスクライミングルート集」(共に白山書房)に掲載されている他、チーム84HPに出ている谷川コメンタリーを参考にするとよいだろう。
 無雪期の沢登りのメジャーところは、関東周辺の沢(白山書房)・上信越の谷105(山と渓谷社)に紹介されているので、そちらを参考にされたい。

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