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越後・三国川支流芋川ジロト沢
〜イモな小沢の源頭は、ぐるりスラブの大伽藍〜
 
ジロト沢を代表する名瀑-ジロト沢右俣大滝(布晒ノ大滝)
 
 六日町からバスに30分揺られると、終点の野中のバス停につく。どこにでもあるような、田園風景の広がる小さな集落だ。集落の東側には、三国川ダムのロックフィル式のアーチがみえる。その左右につけられた車道を上がると、ダムの湖畔に出て、さらに湖岸沿いを行くと、中ノ岳・丹後山の登山口となる十字峡に着く。
 ふつうの登山者は、このダムに目を取られ、集落の南側に延びる芋川の存在など、気にもとめないだろう。地図をみたところで、源頭の大兜山は標高1341mしかなく、中の岳2085m・丹後山1809mに比べて明らかに見劣りする。流域の面積も、源頭から野中まで、南北約5キロ、東西3キロに過ぎない。だいたい名前からして、「イモ」川だもん、「登山口の集落に注ぐきれいな小川」と認識されれば上出来、見向きもしない方がふつうだ。
 芋川は途中で、滝沢とジロト沢に二分する。
 ジロト沢の方は途中までは平凡な小沢である。水量もしだいに少なくなり、いよいよ源頭近しと思う頃、なぜだか前方が開けスラブが目に入ってくる。「なんか変だぞ」と思って進むと、やがて正面に、右俣の布晒しの滝(下部100m、上部スラブ状200m)の姿が見え、驚きの声を上げずにはいられない。そして布晒ノ大滝を中心に左からぐるり左俣、インゼルルンゼ、Cルンゼ、Bルンゼと両岸にスラブが広がる景色の中に入ってゆく。それは、スラブの大伽藍とでもいうべき、まさに奇観である。
 ただ、その大スラブ帯の下のジロトの流れは、もう完全に源流のちょろちょろ水という流れなので、大スラブ群の中にあっても威圧感がない。それがまた、なんとも独特の雰囲気を醸し出し、この山域の怪しさをぐっと深めている。こんな平凡な場所に、こんな奇天烈な景色があるんだから、山登りって奥が深いんだなあと、改めて感心。

以下、この山域を、

1.ジロト沢左俣大滝
2.ジロト沢右俣大滝
3.ジロト沢左スラブ帯

の3つにわけて解説してゆきたい。

 
■アプローチ

 野中バス停より。車なら途中まで林道を入れるが、バス停から歩いても20分ほどでさして違いはない。
 林道終点から奥に延びる踏跡を辿る。野中不動の手前で、左岸へと渡るが、この先の滝沢とジロト沢の二俣では、ぼっとしてるとジロト沢の出合を見過ごして、滝沢側に入ってしまうので注意。ジロト沢沿いの踏跡は、重松乗越(三ツ石尾根左稜975mP・941mPのコル)を経て下津川へと延びる。これが沢から離れた先も、かすかな踏跡はあるが判然としないので、適当なところから入渓する。源頭スラブ帯まで、林道終点から2時間余りである。
 下降路は、重松乗越からの踏跡を使うか(975mPの気象観測計から踏跡あり)、滝沢左俣等の沢を下りることとなる。

 
■全体の概念をつかむ資料

ゼフィルス山の会の小泉共司氏の独壇場といえる。
 下記の3つはすべて小泉氏の、同じ記録が元ネタだが、特に「渓谷」が詳しい。
 ・登山体系 第2巻「南会津・越後の山」 p207〜 小泉共司
 ・岳人425号、426号 小泉共司
 ・渓谷7号 p213〜

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