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1.北面 楢戸沢・小戸沢流域  無雪期(+ちょこっと残雪期も)

a)楢戸沢

 
「百名谷」に収録されているが、それほど登られているわけではないようだ。ただ、私の行った沢の中でも、お薦め度はかなり高い。下部は平滑の目立つな穏やかな流れで、中部は連バク帯となり、特に1050mの二俣の先はチムニー状の滝が続き陰鬱な感じすらし、手強い。しかしこれを抜けると、上部は山頂直下に広がるA沢(名前は下の東雲山岳会の記録による)をはじめ、B・C・Dとスラブとなっており、私の登ったA沢は、幅100mあまりもあり、開放的で実に気持ちのよいスラブであった。沢靴だと、ちと厳しいかもしれないが、クライミングシューズを忍ばせておけば、すたこら息を切らしながら登れる。横のヤブ尾根に逃げている記録が多いが、ぜひスラブを登りたい。なお下部のアプローチは、川の流れに沿った林道から入るよりも、白沢林道から山越えをして入った方が、楽であろう。

◎資料
 ○00年10月 山田・榎並(慶應大学山岳部OB会)
 ○79年9月 成田・丸山・鶴田(郡山山岳会)
    →日本百名谷(南会津郡西部の山と谷(下)のp47〜に元ネタの記録あり)

記録を見て「沢の様子がわかってしまっては、推理小説の結末を聞いたようなもの」と何も調べずに出発する姿勢が、かっこいい。A沢の途中から、右の第1北稜に逃げたものと思われる

 ○94年7月 大津・坂井・小田・久保(わらじの仲間)→わらじの仲間・年報

さすがに7月だと、上部は雪渓の連続で、手を焼いている。上部はスラブに出ずに左のルンゼを詰め、頂上直下のコルに出ている。同年10月、今度は登山道を避難小屋まで登り、そこから下り上部スラブのみを登っている。

 ○96年8月 高桑・高橋・水野・宮崎・池田(浦和浪漫山岳会)→日本の渓谷'97

これも雪渓が残っており、「この谷の巻きの悪さは半端じゃない」と苦労。途中から、尾根(第1北稜と思われる)に逃げている。

 

☆以下、北壁のみの記録

 ○59年5月 東雲山岳会→岩雪6号

1957年5月と1958年8月の前2回の偵察山行の末、A沢の左の中央リッジを登っている。A沢の登攀後の「なぜだか我々が北壁の初登はんをやったと云う様な、感激めいたものは沸いて来ない。あまりにも簡単すぎたためかも知れない」と正直な感想が、最後にある。下に挙げる同時期の読売新聞隊といい、「未踏の岩壁」の言葉に、やや過熱したきらいはあるのだろう。


 ○62年7月 島田 他計8名(東京経済大学)→岳人177号

会津朝日で8名で合宿、第1北稜とCルンゼ〜第2北稜を登る。東雲山岳会は偵察時に、「A沢にくらべればC沢、D沢の方がオーバーハングと逆層のスラブで技術的にかなり困難な登攀を要求され"」と述べているが、果たして?。Cルンゼの記録は詳細は書かれておらず不明だが、学生山岳部で会津朝日に目をつけたというのは、なかなか渋く共感できる。

 ○67年5月 林・荒木・川角・大西・中村(ヒマラヤクライミングクラブ)→岳人239号

2隊に分かれ、北壁中尾根第1ルンゼ、左俣第2ルンゼを登っているのだが、東雲山岳会の命名に従うとどこにあたるのか不明。

 ○59年7月 岡部・大塚 他アタック隊計6名 
    +案内人等(読売新聞後援「日本山岳縦走別働隊」)→ヤマケイ 1959年10月号

『「日本山脈縦走」の企画を立てて、それが実行にうつると同時に、未開の山、できれば未登の山へ別働隊をだし、その成果も合わせて紙面を飾ろう」と、なんともまあハチャメチャな経緯で、会津朝日の北壁を目指している。大新聞がおとな気ないと、と思えばそれまでだが、こんなのがまかり通っていた開拓時代がちょっとうらやましい。小幽沢を詰め(まだ登山道は出来ていない時代なので)、A沢を登っている

 

b)小戸沢
 田子倉ダムの手前で只見川に合わさる。最初は林道があるが、すぐ終わってしまい、ここで二俣となる。あとは西の沢と東の沢に分かれ、ほぼ平行して長須が玉まで延々、地図を縦に1枚あまり長い。地図をみると、運良く林道の開発に晒されずに残った、穏やかな中流域 という感じが想像され、ぶらぶら歩いてみたい。記録によると、東の沢は最後まで特段の悪場はないようだが、西の沢は雪渓が残りやすく苦労するようだ。

◎資料・・・白戸川方面への継続の記録が目立つ。
 
○79年8月 斎藤 他計4名(郡山山岳会)→南会津郡西部の山と谷(下) 郡山山岳会編
   小戸沢東の沢〜長須が玉〜会津朝日岳

 ○96年8月 熊倉・田中(わらじの仲間)→岳人594号
   小戸沢西の沢〜白戸川藤倉沢下降〜同・前沢〜小戸沢東の沢

西の沢では雪渓処理に苦労しているが、尾根1本隔てた下降の東の沢にはまったく雪がなかったという。

 ○98年8月 熊谷・佐藤(スクランブル・アップコーポレーション)→岳人618号
   小戸沢西の沢〜白戸川横松沢下降〜白戸川袖沢乗越〜袖沢林道〜御神楽沢〜会津駒

 ○00年7月 ??(浦和浪漫山岳会)→岳人642号

荒淀沢の岩幽に入るのに、飯島パーティー計4名が小戸沢東の沢から、高桑パーティーが小戸沢西の沢から。この記録でも、西の沢・東の沢で雪の残り方の差が顕著。

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