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会津朝日岳…「ワンダーランド み・な・み・あ・い・づ」
 
会津朝日岳八本歯の雪壁を登る    (撮影:野田修司)
 
 登山体系第2巻の「はじめに」にこうある。『南会津という言葉の響きはじつに快い。たいていの山好きなら、「み・な・み・あ・い・ず」と声に出してみただけでこのエリアに夢中になってしまうだろう』
 残念ながら、「たいていの山好き」というほど、夢中になってる人はいないかもしれないが、私のような夢中になってしまった人は、この語感から、どこまでも山並みの広がる、この地の情景を思い浮かべ、これは名文だ!と感じいってしまう。この1文のあとに、登山体系が触れるように、広義には、「南会津」とは下田川内・御神楽を北東端として、越後三山を経て、谷川岳に至るまでの広大な山域を指す。
 ふつう南会津と言ってまず頭に浮べるのは、狭義の会津駒・朝日山群であろう。このあたりは、日本海側の季節風が、黒谷川左岸尾根、毛猛・未丈山群、只見半島と3つの尾根に遮られるためか、全体に谷の侵食は緩く「み・な・み・あ・い・づ」の語感そのままに、たおやかな山並みが広がる。ただ、それを冗長なものとまったく感じさせず、わくわくどきどきの詰まったワンダーランドとしてしているのは、朝日の存在感が大きいような気がする。
 朝日は、ゴツゴツした特有な姿のため、たおやかなこの山並もにあって、例えば遠く越後駒あたりからでも、一目で姿が目につく。そう、この山がアクセントとなって、「み・な・み・あ・い・づ」はぐっと深みを増しているのだ。
 
■山域概念

 会津朝日を扇のかなめのようにして、北側には西から小戸沢西の沢・東の沢・楢戸沢と3本の沢が、狭い間隔で平行して走る。これらの沢は、延々2万5000分の1を縦にひた1枚走り、只見でようやく街に出る。楢戸沢は中流部まで林道が延びるが、小戸沢はすぐこれが終わってしまうので、山深さが感じられよう。ただ、小戸沢を詰めても、そこは登山道のない密ヤブなので、あきらめて会津朝日までヤブをこぐか、または南西の白戸川流域への継続を考えるかする必要がある。その点、楢戸沢は詰め上がれば会津朝日の山頂であり、上部が会津朝日北壁の開放的なスラブなのがよい。楢戸沢のもう1本東の白沢の林道から、よく整備された登山道(この山域にしては破格と言っていい)が山頂まで伸びてるおかげで、山頂から白沢集落まで半日弱で下ることが出来る。
 一方、南側には、会津駒に至るこの山域の主稜線が延びる。その東の小幽沢は、黒谷川沿いの林道から楽なアプローチで、特段、悪場もなく簡単に山頂に立つことが出来る。ただ、主稜線の西側の荒戸沢は、アプローチは田子倉ダムの渡船を頼むか、継続遡下降して入るか、一苦労な上に、最後は山頂直下の南壁で一気に高度を上げており、手強い。
 この山域の開拓は、「市川学園山岳OB会」なる、一高校山岳部のOB会??(といっても、その名も「わが南会津」という本を書くまでのこだわりを持つ佐藤勉氏の活躍が大きい)が第1人者と言える。しかし、奥利根や下田・川内、飯豊が、悪く言えば絨毯爆撃のような集中的な地域研究により、全貌が明らかにされていったのと違い、この山域は多くの人達の関わり中で、少しづつ姿を明らかにしていった。いろんな人達の思い入れをなぞりかながら、資料を集めてゆくというのも、この山域ならでは興味深い。

以下、この山域を、@北面 楢戸沢・小戸沢流域、A南面 洗戸沢流域、B積雪期、C他山域への継続の4つにわけて解説してゆきたい。

 なおアプローチは、先ほど述べたように、一般的には白沢林道の登山道を使うことになる。只見駅から山口車庫行きのバスで15分ほどの会津朝日登山口で下車する。タクシーを使えば林道終点まで入れるが、会津朝日岳登山口のバス停のまん前に、黒谷タクシーというちっちゃなタクシー会社があるので、駅からではなくて、ここから乗りかえるといい。また、只見駅と反対側の山口車庫からは、会津田島駅行のバスに乗り継ぐことが出来る。会津田島からは、浅草行の直通快速が出ているので、本数の少ない只見線を使うより有効な場合もある。
 車なら、夏は関越道の小出ICから、只見線沿いの道を行けば、思ったより早く只見に着く。ただし、この道は冬は通行止になるので、その場合、東北道の那須塩原ICから延々下道で3回峠越えを繰り返すこととなる。こっちから入ると、只見が「陸の孤島」と呼ばれることを、妙に納得してしまうだろう。

 
■全体の概念をつかむ資料

・登山体系 第2巻 南会津・越後の山 p66〜 市川学園山岳OB会
・南会津郡西部の山と谷 下巻 p7〜90 郡山山岳会編

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