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 ゴルジュ突破といった、この種のアドベンチャーには、特別の用具と特別なテクニックが必要かもしれないが、なによりも求められるのは忍耐力だ。実際、何日にもわたってゴルジュを登り続けるには精神的にもかなりタフなものを要求される。そのためにも、少しでも快適な生活をしたい。

○避難路の確保


 ゴルジュの中で泊まらないほうがいい…そんなことは誰もが分かり切っていることだろう。しかし、目の前の1m滝が越えられず、かと言って下るのも大変で、結局、畳1枚強の広さの外傾テラスで三人で重なりあって寝たとか、そういう悲惨な話は長くやっていれば誰しも経験があるものだ。

 やむなくゴルジュの中で泊まるときには、増水しても逃げれるような対策をしておきたい。急な増水はひとたまりもなく、時には命さえ奪うこともある。ゴルジュの側壁を見て、高さ5-6mも上にある草が倒れていたりすれば、そこまで水位が上がる事が分かる。どんな天気でも上流に雪渓などがあれば、鉄砲水の恐れがある。絶対大丈夫ということはありえないのだ。

○寝る


 雨の来襲がありそうな時は、いざというときに備えて、ザックに荷物をしまって、すぐに脱出できる様にしておくことが大切だ。ゴルジュの沢では増水は非常に早く10分程度で増水する。辺り一面に荷物を散らかしておいたがために、増水であらゆるものが流されたという、笑うに笑えない失敗談を聞く事もある。本当に危険な場合は、ウェットスーツを着たまま、靴を履いたまま寝たほうが良いだろう。寝具といっても、泳ぐような季節の遡行はシュラフカバーのことがほとんどだ。靴を履いて寝たところで、使用不能になるほど汚れるわけでもない。足が保温されて暖かいぐらいだ。ウェットスーツも着ていれば、かなり体がポカポカする。ビバークザックという袋状のレスキューバッグがあるが、シュラフカバーの外側に使えば、寒さから逃れる事が出来る。

○食う


 精神的にめげないためにも、食事の効果は大きい。毎日がジフィーズなんて最悪だ! こういう時こそ、うまいものを食いたい。水に浸かりっぱなしというのは、想像以上に体から熱を奪い去る。量としては、通常よりも多めに持っていきたい。私はマッシュポテトのマヨネーズあえを高カロリーという面で愛用している。火を使わなくても作る事が可能であり、もちろん味もかなりイケる。
 行動食もアメやチョコなどいろんなものを持っていきたい。こういうのを一口でも食べれば、気分が落ち着くじゃないか。絶望したくなるような絶悪なゴルジュの中では、ビッグウォールのように音楽をかけながら登ることは出来ないけれど、せめて鼻歌が出せるくらい陽気に登りたい。時間のかかる滝では、3人で出かけた際には、ルート工作で時間がかかりそうな時には、1人がマッシュポテトを作って食べたり、お湯を沸かしてコンソメスープを作って待っているくらいの気分でやりたい。

 最後に、たくさん持つのは結構だけど、軽量化だけはお忘れなく(荷上げの時に間違いなく地獄を見ます)。

○整理整頓(ギアの整理・パッキング)


 ビッグウォールをやる人間は整理整頓が上手でなければならないように、ゴルジャーも整理整頓が上手でなければならない。私は2人で行く際には、ギアザックと生活用品+食料の2つに、3人で行く際には生活用品ザックと食料ザックとギアザックの3つに分けて対応している。それぞれの袋は、カヌー用の分厚いインナー袋などを使用して、三重防水をしている。遡行中に出すような個人装備はそれぞれのザックの雨蓋にすべて入れるようにし、泳ぐ際にザックの天蓋がヘルメットに触れないような高さに揃えている。

○記録する


 番外編として記録の話。泳ぎ主体の沢では完全防水のカメラを持参していたが、カメラのレンズについた水滴は、厳しいゴルジュ突破の場合はある程度は仕方がないものと諦めていた。しかし、昨年、日本海側のとある大ゴルジュの沢で一緒になった後続パーティーのメンバーの一人は、カメラ屋で売られているセーム革で水滴を拭き取って数々のシャッターチャンスをモノにしていた。沢屋の多くが記録を取ったり、写真をとったりとマメな人間が多い事だろう。シャッターチャンスをモノにしたければ、ぜひだまされたと思って使ってみて欲しい。400円くらいで売っている。なお、防水デジカメなどが販売されているが、光量の少ないゴルジュの中では、何も写らない事が多い。

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