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 必要最小限のギアで対応するのは、ゴルジュ突破のもっとも美しいスタイルだが、未知の要素が大きいゴルジュの完全突破には、あらゆる場面を想定すれば、相当量のギアが必要と考えられる。そのように言い訳しつつ、毎度のように文明の利器に頼ってしまうのは、自分の実力がないというのも大きい。
 基本的にはアメリカンエイドで使用するものと同じギアを使っている。違うのは、つるつるの側壁が多く、ボルトを打つ事も多い事である。以下で、ゴルジュ突破で使用されるギアを紹介したい。

●ハーケン

 薄刃タイプのナイフブレード・バガブー、肉厚のロストアロー、楔型のアングルを各種持って行くが、ナイフブレードを使う事が多い様だ。リスが奥でぐにゃぐにゃに曲がっていることもあるので、軟鉄ハーケンも用意している。その他、ハーケン回収具は忘れずに持っていきたい。また、タイオフの際のバックアップなど細かな気配りは絶対に忘れてはならない。ゴルジュの中でのハーケンの紛失は致命的だ。
●イボイノシシ


 草付対策用。ゴルジュは完全突破するのがもっとも美しいとは思うが、時にはどうにもこうにも突破できない場所もあり、そんな時、悪い側壁の高巻きを強いられることがある。ボロ壁の中では、岩のすき間に打ち込むと恐ろしいほど良く効くことがある。効きさえすれば、人工登攀にも使える。

●ラープ、コパーヘッド、ぺッカー


 ヘアラインクラックや、リスの幅があっても奥行きが全く無い場合に使う。コパーヘッドは、ボルトの抜けた穴に叩き込んだり、水の中からの這い上がりなど、荷重がそれほどかからない場面で使えるが、濡れている壁での使用だけに、決まりが悪く、前進ギアとしての使用では注意したい。ラープはきちんと決めるとそれなりの衝撃にも耐えてくれるが、回収が困難になる。

●カム・ナッツ


 チョックストンの隙間にセットしたり、水中からの這い上がりでアブミを併用して這い上がったり、流れの強い場所でクラックに突っ込んでレストしたり、と多くの場面で使えるギアである。片手でセット出来るというのも大きい。ナッツも使用するが、チョックストンではフレアーしてることも多く、決めずらいことも多いので、カムの威力は大きいだろう。

 大きいサイズのナッツは、カムで代用できるため、持っていかないことが多い。通常の持参ギアは、エイリアンの青〜赤、キャメロット#0.75〜#2、ストッパー#1〜6をそれぞれ各1ずつ持参すれば、大抵はなんとかなる。なお、沢に持っていったカムは、あとで必ず錆止めをしておこう。でないと使えなくなる。

●ボルト

 つるつるの側壁に阻まれて、他のギアでは前進できない場合も多く、そのような場合にボルトを使用している。主にリングボルトとM8の工事用ボルトを利用しているが、後者は1本50円程度で使いやすく、リングボルトに比べて深く埋めることが出来、ぜい弱な岩質のゴルジュでは重宝される。リヴェットや、バットフック、リムーバブルボルトによる代用もあるが、使用する場所を選ぶ。
 ルートによってはたくさんの本数のボルトを打つことになるため、岩質によっては、キリを消耗する場合もあるので、替えキリは多めに持っていきたい。
 なお、ボルトの多用は、後々登る人のことを考え、バットフック等で転用出来る場合は、使用を極力控えたい。記録を残すのは結構だが、ギアの残置は、将来登る人の楽しみを奪っているとも言える。

●ユマール

 最も使う器具の一つ。軽量化のためにロープマンとか持っていく人もいるが、多少重くてもユマールだけはグリップのついたものを持っていきたい。

 

●フック


 ワンポイントのレスト用として、流れの中で休む際によく使われる。沢登りでの使用法としてはこれが最もオーソドックスなものかもしれない。引っかけながら泳ぐのは不可能である。

 当然、クライミングでやるようなフッキングの用途もある。ノーマルなタイプに加えて小さめのひっかかりにも使えるようなタイプが1つは欲しい。バットフックがあればそれも。

●ハンマー


 数多くのボルト・ハーケンを打つ事を考え、パーティーに1つくらいは打撃力の強いハンマーを持っていると心強い。ゴルジュの中からの高巻きは悪い草付であることも多く、アイスハンマーも必要。

●ロープ


 泳ぎのピッチには、カヌー用フローティングロープや工事用トラロープをほぐしたものもオススメである。(荷造り用ビニールヒモは非常に絡まりやすい) 最低でもユマールが使える8.5mmにすべきだ。また、大滝の登攀をするような場合やゴルジュの中への懸垂も考え、2本以上の携行を心掛けたい。なお、登攀に際し、ダブルロープで登るか、1本をバックロープのようにして登るかどうかはその時の状況によっても異なる。3人パーティーの場合、この他に8.5ミリ10〜15m程度のお助けヒモがあると、非常に便利である。ユマールが使える太さにしたい。(2人パーティーの場合は荷物の重さを考えると過剰装備でないか?)。
 

●アブミ

 ゴルジュ突破には欠かせない。ピン抜けして釜に落ちてあぶみを流してしまう可能性もあるので、必ずアブミと体をデイジーチェーンなどでつなごう。
●その他のギア

 

●チョンボ棒・・・・・・手の届かない残置ボルトにクリップする際に使用。自作品。通常は50cm程度のものであるが、伸縮自在の指示棒をつけたもの、つり竿などを使って、数m上でも対応できるようにしたものもある。ツェルトのポールを使えば、ツェルトを張る際にも困らない?

●リヴェットハンガー・・・工事用ボルトを使用したり、浅打ちのリングボルトを使用したときなどは、リヴェットハンガーを使用すると良い。ナッツで代用可。

●スリング類・・・ハーケンを打つ場合には、根元まで入るとは限らないので、タイオフ用のスリングを多目に持っていくこと。あと、エイドルートと違って、高巻いて懸垂というパターンでスリングを残置する場面も多く、多目に持っていくと良い。

●足ヒレ・・・白泡・激流の突破などで使えることもある。どんづまりが激流の場合に使用できなかったりと、水中からの這い上がりに問題を残すが、緩い泳ぎばかりが連続するところでは、非常に有効なギアである。沢靴を脱がずに直接履けるタイプが良い。

●ナイフ・・・絡まったロープやスリングを切ることがあるかもしれないので、必ず身ににつけておく。過重がかかったロープを切断するのであれば、剪定用のはさみの方がよく切れる。

●たわし・・・壁のぬめり落としとして使用。スポンジたわしでも可。

 その他にも、カメラのブロワー、浮輪、エアーマット、ビート板、トイレ吸盤といったものを利用している例も見られる(トイレ吸盤は使ったものの取付より下に流された事があるので効果は疑問)。普段から使っている日常生活用品を創造力を働かせて利用するのが大事である。

 

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