戸隠/西岳P5稜


●2001年2月9日〜10日
●木下(日本山岳会青年部)、椛島(東京志岳会)、角幡(早稲田大学探検部OB)


 出発間際に、松原さんが病に倒れたことを知り、急きょ、P1稜に行くと言う椛島・角幡パーティーに加えてもらい、しかも政治的手腕を発揮し(脅迫とも言う)、行くルートをP3稜に変えてもらうと言うウルトラCをかます。
 戸隠まで一気にいきたいところだが、睡魔に勝てず、
長野県庁そばで車中ビバーク。

2月9日(曇のち雪)
 朝いちで戸隠の品沢高原別荘地に入る。非常に風も強く、なんだかいけてないが、P3稜に向け出発(8:00)。が、トレースあり。どうやらP3 稜にとりついたみたいだ。すげーがっかり・・・。2人からも、やっぱりP5稜にしようといわれ、あえなく沈。
 2月と言うのにほとんど沈まないすばらしい状態で、「P5も末端から取り付かず、これなら大沢を詰めていけるだろ」って話になり、締まった雪の大沢をつめ、下部岩峰群先のプラトーに突き上げる尾根に乗る(11:00)。尾根が急になるところからロープをつけ2ピッチ100m。さらにロープを引きずり、ランナーを取りながらのコンテで、VI峰の先までひたすらラッセル。
 VI峰からは再び雪壁を2ピッチ伸ばす。正面には悪相の壁が良く見える。つるべで登っているので角幡がトップ。正面のきのこを崩して行くべきところを、「こっちの方が楽だから行くわ」と左トラバース。が、フォローしてみると、下は100m以上も切れ落ち、非常に気分が悪い。ここは、正面から行った方がどう考えても楽であった。
 次のピッチも角幡がリード。バンドを左に回りこむが、どこから登るか分からないと言っておる。あんたの目に任せたと言ったら、目の前のカンテ裏側を登りはじめた。が、やたら歩みは遅い。やっぱり非常に悪いのか? たぶん、今日はここまでだろうと思って、ここで待っているのも寒いので、1人ロープを外して、岩場の基部までクライムダウン。テントがかろうじて張れるほど斜面を切り出して勝手にテントを張る準備をしていたら、やっとのことビレイ解除のコール。1時間半もかかった。予想通り、上にはテントを張るようなスペースはなく、結局岩場の基部でねることになる。ゴアライト2ー3人用はでかい男が3人だとさすがに狭い。

2月10日(雪)
 目覚ましが鳴らず大寝坊し、朝7時半発。シュラフカバーだけで寝てて、寝坊するやつもなかなかいないだろうに・・・。
 昨日のトレースはほとんど消えていた。昨日FIXした2ピッチを登り返す。が、絶句するくらい、とにかくすっげー悪い。おいおいこんなとこリードしたんかい? 「オレ、フォローするよ」なんて言葉を安易に発した自分に後悔(前の2人はユマーリング)。いかにもとれちゃいそうな小さな石ころを掴みながらの登攀は、悲しくなるくらいきわどすぎるものだった。
 あとで読み返してみたが、実際はもっと壁をトラバースしてから浅いルンゼを登るそうだ。いくらなんでもP5稜であの悪さはないだろう。降りる時に後続パーティーとすれ違ったが、彼等はVII峰・VIII峰のコルへ突き上げる易しそうなルンゼを登っていた。たぶん、こっちが正解の気がする。
 ちょっとクライムダウンし、コルから雪稜を1ピッチロープを伸ばし、最後の草付は、汚いところが大好きなカバやんがリードでダブルアックス1ピッチ45m。「たいしたことねーだろ」とロープがやたらたるんだ状態でダブルアックスするが、いきなり足場が崩れて、たるんでた分だけフォール8m。あっさりビレイ点を通り過ぎ、体が振られてハングの下まで落ちてしまう。結局、プルージックで登り返し、そのピッチは終了。
 すぐ目の前では、P4稜を登るペアが奮闘的なクライミングをしている。非常に悪そうな壁からルンゼへ・・・。その華麗な?身のこなしにため息ばかりが出る。ああ、私もあれぐらい登れるようになりたい・・・。
 うちらは、その後、1ピッチ分、雪稜にロープを伸ばし、あとは緩い雪面を稜線までラッセルラッセル。最後の雪庇崩しも全然たいしたことがなく、11:20にP5到着。
 帰りは懸垂3ピッチとクライムダウンでTSまで戻り、そこからは、「雪崩れそうで恐い」といやがる角幡にも無理強いし、ロープをつけて途中から大沢を下降。山頂からわず3時間で林道まで降り、15時にはあっさり車のところへ。
 しかし、ここからが核心。帰る途中で、車がスタックして動かなくなり、おまけにチェーンが外れて、車軸にからまり、2度もジャッキアップでタイヤを外すはめに。おまけに別荘地で道を間違え、またスタックして動かなくなり、スコップで轍をつけながら前進。頭にヘッ電つけて、1つしかないスコップで轍をつけていく様は、まさに今回の核心。道を間違えて申し訳ない。
 必死に除雪作業をして県道に出たのは夜の8時半。そういうわけで 戸隠・宝光社のそば屋「よつかど」で完登ソバを食い損ね、夜10時すぎになんとか長野に出て、中華そば「豊龍」(おいしいよ)でささやかな打ち上げ。睡魔と戦いながら運転するも、眠気には勝てず、狭い車の中でビバークとあいなりました。起きたら、まだ上田にも着いていなかった。
 金もないので、内山峠を経由して、荒船山の氷をチェックして、ちんたらちんたら東京へ。なおスタックした際にピッケル1本、その場に残置してしまいました。非常に痛いです。なお、艢岩の昇天の氷柱は今年の氷の不作状況を物語るようにだめでした。


(記:木下)

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